NANA-IRO ELECTRIC TOUR 2019は音楽の先を見ていた

先日お休みを利用してライブへ行ってきました。
アジカンことASIAN KUNG-FU GENERATION主催の『NANA-IRO ELECTRIC TOUR 2019』です。

かつて小さなライブハウスで互いにしのぎを削ったアジカン、エルレ(ELLEGARDEN)、テナー(STRAIGHTENER)の3バンドが再び3マンツアーをするというメモリアル的なイベント。
注目の組み合わせゆえチケットは入手困難必至。まぁ当たらないだろうと踏んで申し込んだ先行一次抽選に見事当選し、なにか運命的なものを感じながら行ってきたわけです。

というのも昔は熱心なファンで、当時学生だった店主はすごく影響を受け、曲を聞きかじりライブがあれば追いかける青春時代を過ごしたのです。
今となってはライブに通うこともなくなり、辛うじてSNSで動向を追う程度に落ち着いてしまいました。
そんな状況でのまさかのチケット当選。これはゴッチからの「いい加減たまには来いよ」というメッセージではないかと都合の良い解釈をせずにいれません。もちろん行くしかないです。

愛知県国際展示場 - AICHI SKY EXPO - 日本で4番目に大きい展示場は新築の匂いがしました

 

愛知の会場はAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)ホールA。
3バンドとも昔はキャパ200~500人程度の箱でやってましたから、こんな大きなホールを満杯にするなんて当時は思いもしませんでしたね。
J-POPが中心となる日本の音楽シーンにおいてバンド界隈はマイナーリーグそのもの。メジャーに残って続けることができるバンドはほんの一握りの厳しい世界だからこそ、この3バンドが十数年を経てなお第一線で活躍していることは奇跡的だし、素晴らしいことだと思います。

しかしながらCDは売れなくなり音楽市場は縮小。ストリーミング配信中心の音楽シーンでミュージシャンたちはどうすれば生き残れるかが課題となっています。
イベント主催であるアジカンのゴッチもいち早く関心を示していました。今回のイベントではその思いが随所で形にされていたように思います。

まず、電子チケットの活用。
チケット販売は未だ紙ベースがメインで、チケット転売屋による買い占め・不正な高額取引により空席が発生するなど問題となっていました。
ナナイロツアーでは『tixeebox』というチケット販売大手:ぴあ㈱が運用している電子チケットアプリを採用。不正転売の防止マッチングシステムによる円滑なリセール(2次流通)でチケットの適切な利用とスムーズな入場を実現しました。
リセールサービスに関してはチケット譲渡をする必要が無いので、気軽にチケットを購入することができるサービス。今後も多くのイベントでtixeeboxが導入されるとありがたいですね。

また、アーティスト物販はキャッシュレス決済を導入しスピーディーな会計が行える環境にされてました。
しかもキャッシュレス消費者還元も認可済みで、お得にグッズを購入できるというありがたい充実っぷり。
オンラインでも事前予約を実施するなど、物販スペースの混雑を解消する取り組みが徹底されてました。

他にも、会場内ブロックの細分化によるスムーズな退場や、ブロック割りのシャッフル&前日発表でチケットの平等化を図るなど、大きな会場でも快適性と充実感が伴うよう配慮されたイベントでした。
インフラを整備することで多くのファンが足を運びやすい環境を作り、そして音楽カルチャーとして次世代へ繋ぐ流れを作る。そんな先を見据えた想いを感じました。実際、会場には僕ら30・40代だけでなく、ストリーミング世代である10~20代の若者が多かったし、うまく次世代に繋がっているよ。

 

ライブの感想は、もう色んな10数年分の思いがこみ上げてどうにも纏まらないので、詳しくは書きません。
あの頃ヒーローだった3バンドがさらに大きくなり、再び対決する場に居合わせることが出来、嬉しくて仕方ありませんでした。

ゴッチはライブのMCでこう言いました。
「もしかしたら久しぶりにライブを見に来たっていう人もたくさんいるかもしれない。でも俺たちは10年後でもずっと音楽を鳴らし続けていくから、何かひと段落したらまたいつでも見に来て」

それは10年後も活動し続けるという意欲と決意の言葉で、そして久しぶりにやってきた古参ファンに対する温かい思いやりで、そんな懐の広さに僕は涙するのでした。